Dr.OHNOの研究技術
国立大学法人九州工業大学
横野 照尚 教授
OHNO TERUHISA
開発・監修
現在、44件の特許が取得され、47冊の本を出版しています。192件の学術論文が発表され、10,342回引用されています。NHK、朝日新聞、西日本新聞などのフォローアップレポートがフォローされています。屋内可視光光触媒を開発した最初の人物です。・室内光でも機能する高性能光触媒の世界屈指の研究者
・科学的に実効性のある公衆衛生
・空間衛生を推進
特許リンク
光触媒(酸化チタン)とは、紫外光を照射することにより粒子内に電子と正孔が生 成し、その表面で生成した正孔による強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合 物、細菌、ウィルスなどの有害物質を分解することができる材料物質で、防汚、殺菌、 空気浄化および有害化学物質の無害化などの特性を有し、多様な応用の可能性を持っ ています。これらの特性を利用して、建物の外壁やガラス、鏡、繊維など様々な生活 用品が作られ、また環境浄化、化成品の合成への応用に関する研究が活発に進められ ています。
光触媒の開発研究は、国内外の研究者により盛んに行われていますが、もともと紫 外光が必要であることから、その大部分は空気中に存在する対象物質の吸着特性を単 に上げるための微粒子化技術の開発だけであり、光触媒そのものの触媒活性(電子と 正孔を分離する→電荷分離)を向上させる本質的な研究開発は皆無と言っても過言で はありません。
九州工業大学横野研究室で行う光触媒の研究概念は極めて独創的なもので、光触媒 粒子の形状を制御することで酸化反応と還元反応の場を分離制御して(電子と正孔の 分離に成功→電荷分離)光触媒の性能を飛躍的に向上させました。さらに、光触媒反 応には紫外線が必須とされていた光触媒を、その表面に金属イオンを特殊な技術で固 定化することで室内光(可視光)領域まで拡大させることに世界に先駆けて成功しま した。また、これらの光触媒を原料として、連携企業との共同開発により室内の生活 適応環境に最適化された抗ウィルス、殺菌、抗カビなどの機能を有する室内光対応型 の光触媒塗料の開発に成功しています。従って社会的インパクトは極めて大きいもの といえます。
研究の新規性や独創性
(1)酸化反応と還元反応の場を分離して光触媒の性能が飛躍的に向上 光触媒はその反応機構上、光照射下で酸化反応と還元反応という正反対の反応がナノ レベルの球状粒子上で同時に進行します。そのため容易に逆反応が進行してしまい、 大幅な触媒性能の低下をもたらします。横野研究室では、この解決しなければならな い最重要の課題について、ナノレベルで光触媒粒子表面の反応場を分離する方法を見 出して、完全に解決することに成功しました。
(2)弱い室内光でも高性能反応をする可視光応答型酸化チタン材料の開発 応用範囲の広い酸化チタン光触媒ですが、性能を発揮するためには、太陽光に数%し か含まれない紫外線が必ず必要となります。横野研究室では、ナノテクノロジーを駆 使して金属イオンと光触媒を複合化し、可視光に反応して高い殺菌、防臭性能を発揮する可視光応答型光触媒の開発に成功しました。今も改良を重ね世界最高レベルの性 能を誇っています。
これら技術を組み合わせることにより世界に先駆けて開発に成功した棒状(ロッド状) の次世代型酸化チタン光触媒は、室内光を使った化学物質(アセトアルデヒド:シッ クハウス症候群の原因物質の一つ)の分解性能を調べた結果、一般的に使用されてい る窒素添加酸化チタンより約 4 倍の分解性能を確認しました。